葉もの野菜食べてますか?と聞く理由

東洋人のための食養生の基本を、東洋医学の視点からお話します。

なので、西洋医学、現代医学で言うところの栄養学とはかなり違います。

ということを、頭に入れてお読みいただければ幸いです。


食養生の基本は、

『腹八分に医者いらず、腹六分に疲れを知らず、腹四分に老いを知らず』

『およそ小児を安らかしむるには、三分の飢えと寒とを帯ぶべし』

どちらも「食べ過ぎるな」と言っています。

内臓も働きっぱなしでは疲れて、やがて働きがダウンしてしまいます。

それでも食べ物が入ってくると、処理しきれず体のあちこちに溜まっていきます。

これが、東洋医学でいうところの「痰湿」となり体に重だるさやむくみ、肥満などといった不調を作る元となっていきます。

さらに、湿気の多い、温かいところに入れられた食べ物は腐ります。

腐った食べ物は熱をもち、活性酸素を発生させ、傷ついた腸管からは、きちんとグルコース、アミノ酸、脂肪酸に分解されていない食べ物が入ってきます。

それらが侵入すると、身体は異物が入ってきたと思って、抗体を出し、感染症に近い状態となります。(詳しく知りたい方は“リーキーガット症候群”で検索すると良いですよ)

胃腸を休めることができるのは、空っぽの状態のとき。

しっかり休息をとった胃腸は、新しい食べ物が入ってきたとき、しっかりと消化吸収という活動を行うことができます。

そして、二、三分のゆとりがあるために、よく動くことができます。

なので、動いたり考えたりすることができなくなるまでお腹いっぱい食べるよりも、ちょっとゆとりを残してあげた方が胃腸には優しいのです。


「腹八分目」とは?

・食後に眠くならない

・お腹が張らない

・食べる前と同じように動ける、考えられる

子どもの場合は、様子をよく見て与える量を決めましょう。

赤ちゃんや、小さい子は満腹の感覚を感じにくく、際限なく食べてしまう子もいます。

おなかがパンパンに張っている、体重の増加が激しすぎる場合は、適量でご飯をやめて、遊びなどに誘い、食べ物から気を反らせることをしましょう。

お子さんが、いっぱい食べてる姿って可愛いんですけどね・・・ほどほどに!

母乳も食事と考えてください。離乳食を始めているのに、お母さんがドンドンやつれていたら、それは飲ませ過ぎの可能性もあります。

現代人のお母さんも栄養過多な中で育ってきたため、母乳も栄養が濃くなっています。

母乳は水分補給ではなく、ガッツリお食事です!

母乳をいつまでも飲ませていると、お母さんの体力などを消耗する上に、プロラクチンがいつまでも分泌され続けるので、次のお子さんを望まれる方は妊娠しにくくなります。

卒乳してしまうと寂しいのですが、その分、他のスキンシップをはかりましょうね。

お子さまがいつまでも小柄だと心配になるかと思いますが、体格が大きい子よりも、小柄な子の方が動きがよく体力もあって丈夫…ということがよくあります。

体は大きければいい、というものでもありません。

東洋人には東洋人の内臓の働きに見合った体格というものもあるのです…。

大昔の人は、小柄だったけど長距離を走ったり力仕事をするだけのパワーを持っていました。


子午流注に対応した、おススメ食事時間

朝食:胃の時間は7時~9時。

1日の始まり、疲れない程度に消化吸収の良いものを軽く食べるとよいでしょう。

昼食:11時~13時は心の時間。

心のポンプ作用を休める時間であって、食事に適した時間というわけではありませんが、3食食べる方は、この時間に身体を休めつつ、軽めの食事をとりましょう。

夜食:腎の時間は17時~19時。

食べたものが腎に蓄えられやすいため、身体の骨や血となる材料を仕入れるのに1番いい時間です。

身体の蓄えとなります。

これから腎をしっかりさせて行かなければならないお子さまは、この時間帯にきちんとした食事をさせることが重要。

お菓子でごまかして、夜遅くに晩御飯ではしっかりした体は作られません。


摂り過ぎ危険な食べ物

・甘いもの・・・腸にベトベト張り付いて動きを鈍らせます。また、糖を燃焼させるために必要な酵素がないために、糖分だけでは消化吸収されません。一緒にビタミンB₁が必要です。

・油っこいもの・・・腸に張り付いて重たくなります。

・肉類・・・消化できるサイズにほぐすのに物凄くパワーと酵素を必要とします。大きい動物であればあるほど、人間が吸収できるサイズに消化するのは大変です。

・香辛料・・・熱を持ち、胃腸の粘膜を痛めます。お子さま用カレーであっても、胃腸の弱い子は控えましょう。

・外食、加工品・・・インパクトの強いものを感じ、過食の原因にもなります。どうしても、胃腸に負担となる食べ物が多くなってしまいます。

・化学調味料・・・胃腸の粘膜を痛めます。また、分解しきれていないアミノ酸などが腸管を通り抜けやすくなり、一緒に食べた食材のアレルギーなどを引き起こしやすくなります。お菓子や加工品に多く含まれているため、知らず知らずのうちに毎日過剰に摂取していることがあります。

とくに和風の味にするために使われている魚介系エキスを多く摂り過ぎな傾向にあります。レトルトや加工食品、納豆のたれやふりかけやお菓子のラベルをひっくり返してみましょう。書いていないものを探すのが大変なほど、実は入っています。たまになら代謝されて何事もないのですが、胃腸の弱い方は毎日同じエキスを摂りつづけるのは避けたいものです。

・牛乳、乳製品・・・日本人は乳糖を分解する酵素がありません。ですが、いろんなお菓子や食品に含まれています。アレルギー反応、乳糖不耐症でない方は、嗜好品と捉えて丁寧に生産されたものをおいしくいただく、くらいの感覚でいた方が良いかと思います。

給食の牛乳を否定して、コンビニやスーパーでケーキやお菓子を買って食べているのは、止める順番が違いますね。給食の牛乳を止める前に、食べているお菓子をよく見てみましょう。

・魚介類・・・人間が進化の過程で、1番最初にお別れをした動物が魚介類です。そのため“異物”と感じやすいのです。ただ、ある程度お年を召した方には必要な食べ物です。子どもは食べ過ぎ要注意。

・生もの・・・火が入る=消化の手伝いとなります。それが省略された状態です。

・冷たいもの、冷凍もの・・・胃は腎が持っている生命の種火によって煮炊きをして、消化吸収のための働きをしています。それを、冷たいものを摂ることによって冷やしてしまうと、働きが一気にダウンします。

・コーヒー…子どもはブラックコーヒーは飲まないでしょうが、砂糖たっぷりのコーヒー牛乳飲みませんか?摂り過ぎ注意のものが3つ合わさった飲み物ですね。コーヒーは自律神経を興奮させます。胃の粘膜にも負担です。

うまく活用すれば栄養ドリンクに頼るよりもおすすめな飲み物なのですが…その活用の仕方は大人の方へ施術中にアドバイスいたします。

・アルコール類…お子さまやお酒は飲まないよ!という方も、醤油のラベルをくまなく見たことがありますか?ほとんどの製品にアルコール入っています。お醤油味のお料理が多い方は、なるべくアルコールの入っていないものを。お菓子も要注意。


しっかり摂って欲しい食べ物 

・煮物やおひたし・・・和食は日本人の胃腸に慣れ親しんだもの。DNAは急に欧米仕様にはなりません。

・季節の野菜とくに青菜・・・デトックス食材、消化酵素の供給源です。胃腸がスッキリして免疫力が上がります。

・いつも同じものではなく、いろんなものをいろんな味付けて食べる

・適度な運動、適度な汗をかく・・・食べたものが活性化し、胃腸の働きもよくなります。

・早寝早起き、十分な睡眠・・・小さなお子さまは20時くらいには、小学生は21時くらいには寝ましょう。大人の方は、治したい症状のある方は22時までに、何も無い方でもダラダラ起きていないで23時には横になった方が病気の予防になります。「何時間寝た」よりも「何時に寝た」の方が大事です!

夏は4時や5時に目が覚めても普通なので心配しないでください!

・水分補給…母乳は水分補給ではなく、食事です!湯冷ましを飲ませてデトックスを。お子さまの水分補給も水やお茶で。スポーツドリンクは糖分の取り過ぎになります。牛乳、ジュース類は食事と同レベルの重さと考えて!  


東洋人に合った食事のバランス

何カロリー食べて、 炭水化物・たんぱく質・脂質を何グラム摂って…、 ビタミンやミネラルをどれくらい摂って… なんて数字はいりません!

細かく数字で食べても、実際にそれだけ消化されているとは限りません。

必要な量も、吸収される栄養も、その人その人の体格、体力、消化吸収能力によって違います。

消化できないのに、無理に食べると、胃腸の中で食べ物が腐るだけです。

だいたい全体の目安は… 穀類4~5割、野菜4割、肉・魚・卵などのたんぱく質1~2割

↑こんな感じにすると、だいたいバランスが良くなります。

・野菜…葉もの野菜(キャベツ、白菜、小松菜、ほうれん草、水菜、チンゲン菜・・・)、海藻(ワカメ、海苔…)、きのこ類

・穀類・・・米、いも、とうもろこし、かぼちゃ、根菜、糖分の多い果物、かんだら甘いものは穀類チーム

・たんぱく質…肉、魚、卵、動物性のもの。豆腐、納豆などの豆製品。

湿疹やアトピー、胃腸が弱くて体力のない、ちょっとしぶとい症状をお持ちの方は、たんぱく質をお豆腐でとるのがおすすめです。


たんぱく質は悪玉菌のエサになります。 葉もの野菜で腸内細菌を増やしましょう。

硬いレンコンやゴボウなどは、押し出す力が弱い方には負担が大きすぎ便秘を悪化させることもあります。

玄米は50回ほどかめるのならよいのですが、よく噛まずに食べると、これも胃腸の負担となります。

このバランスで腹八分目でよくかんで(1口30回~50回)食べる。

毎回は無理!な方は、1日のトータルで、このようなバランスになるといいですね。

・忙しい朝は、納豆ご飯に、晩まとめて作った具だくさん味噌汁、とすると、楽ちん!

・食欲をコントロールできず、どうしても甘いものを欲しがる、ジュースを飲みたがる時は野菜ジュースを利用するのも手です。アレルギーになるくだものが入っていないことを確認して利用しましょう。

・どうしてもおやつを欲しがるときは、シンプルなちいさいおにぎり、季節の果物、ゆでたジャガイモやサツマイモがおススメです。でも、お腹いっぱいにならない程度に! 

・マンゴーはウルシ科の植物です。パイナップルは酵素があります。アレルギー体質の方は体調があまりよくない時に摂りすぎないよう気を付けましょう。


皮膚症状がある場合は「発物」を避けましょう。

上に挙げた摂り過ぎ危険食材にプラスしてください。

魚介類、魚卵、卵、牛肉、乳製品、牛乳、羊肉、鴨肉、においの強いもの、しいたけ、たけのこ・・・。

体によいと言われる発酵食品も、場合によっては皮膚症状を悪化させる原因となります。ほどほどに。

皮膚症状もないのに、除去して全く食べさせないのはかえって健康によくありません。

魚介類は大人には必要な栄養。

羊肉は寒い北海道で暮らしていくにはとてもありがたい食材です。

あくまでも、症状があれば避ける。何もない人は食べ過ぎない程度に食べる。

皮膚の状態が治って、胃腸もしっかりしてくると食べても大丈夫になります。

症状のあるうちは避けましょう。


お子さまに気になる症状があったら…

親がよくかんで食べている姿をお子さまに見せる。 テレビを見ながら、新聞をみながら、スマホを見ながら食べない。食べることに集中する。

便秘、湿疹、アトピー、過食、落ち着きがない、夜寝ない、疳の虫がある、集中できない・・・などの様子が見られる子は、味の濃いお菓子をやめて、以上のことを参考に食生活を改善してみましょう。

なぜか?

腎虚…心火の暴走を止められない。⇒キレる

肝虚…血の流れが悪くなり、熱をもつ。貯めておくだけの血が不足しているために、必要に応じて分配できない。⇒考える力が低下する。

脾虚…胃腸の消化吸収パワーがダウンして、飲食物が腐り、熱が発生 これらの熱が、上焦にある肺や心に影響を及ぼす。気血津液の材料を作ることができない。⇒エネルギー不足

西洋医学では、ものとしての“胃”“腸”としてみますが、東洋医学は体全体に与える働きとして見ます。

なので、原因不明の様々な症状は西洋医学的に見れば「関係ない」とされても、東洋医学的に見れは「関係があり」原因があり、対処法があるのです。

テレビゲームにはまって、切れやすくなる子がいる原因も。 数年前、新聞に「因果関係はない」と書いてありましたが、東洋医学的に見れば関係は大アリです。

人間は気血津液のバランスがとれて、身体を巡っていれば健康でいられます。

その気血津液を作り、分配・貯蔵しているのが臓腑。

その臓腑のバランスを陰陽五行に当てはめて、何千年もの間病気の治療に、養生に使われてきました。

効果があるからこそ、残っているのです。

食べ物で体調を整える習慣を身に付けておくことをお勧めします。

人は食べたものから作られます。

細胞も、血液も、エネルギーも、神経伝達物質も…。

◆◇余談◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 

火葬場の職員の方のお話。

「大往生された方は、小柄な方であってもお骨の量が多い。でも、ある一定年齢層より若くなると、途端に骨の量がガクッと少なくなる」

 若くして亡くなっているから・・・、というのもあるかもしれませんが、けして栄養状態が良かったとは言えない昔の人の骨量が多いのはなぜなのでしょうか?

戦前生まれ、戦後生まれ、で骨量が違うようです。 

米や野菜をメインに食べ、空腹を感じながら幼少期を過ごした方と、食が豊かになり、欧米化した時代に幼少期を過ごされた方の違いなのかもしれません。

長生きな方は、胃腸が丈夫です。

でも、日本人は胃腸の弱い人が多いです。


今は大人になってから、「断食」とか「ファスティング」というものをされる方もいるようですが、子どもの頃から病気にならない食事の仕方、というものを身に付けておくと、大人になってから困らずに済むのではないのかな?と思っています。

でも、これだけ食べ物のあふれた時代に、「食べ過ぎない」というのはなかなか大変なことです。

摂り過ぎ危険として挙げた食べ物を「ダメ!」と否定するのではなく、「痒いのが治ったら」「鼻水が止まったら」調子のいい時にちょこっと楽しむ。すると、おいしいものを全く食べられない状態になることを回避できます。

大人も子どもも同じです。

健康でなければおいしいものを食べてお酒を楽しむこともできなくなります。


以上のことを頭に入れて食事をしていると、さまざまな健康情報に振り回されることなく「自分の体と相談する」ということができるようになりますヨ!

小児はりきゅう師なおみん

札幌市西区、小児はりで、子どもを元気に、ママを笑顔にするセラピスト。 Webサイトに書いてきた食養生記事が、読み返しにくくなってきたので、こちらに引っ越しました。